年末に参加したweb業界のイベントcss nite shift11でマーケティングのセクションで、「したたかマーケティング」という話を聞いてから、SNSに出ている広告を観察するとともに、関連する書籍も読んでおこうと思い、何冊か読んでいる書籍の中の一冊。
グループインタビューやweb調査、多くの参考文献に基づいた、読み応えのある本です。
7つの視点
- SNSのビジュアルコミュニケーションシフト
- 体験のシェアとSNS映えの重視
- なぜいま「消える」動画が求められるのか?
- 動画フィルターに至るまでの日本の「盛り」文化を紐解く
- ライブ動画のSNSシフトに注目
- 「ググる」から「タグる」へと拡張する情報行動
- シェアしたがる心理とそれば生み出すシミュラークル
という7つの視点からSNSの利用動向を分析されています。
その中でいくつかのユーザー行動の変化があるようです。
シェアするデバイスの変化
PCでキーボードを入力していたところから、スマホのカメラでシェアするようになったことで、長文の投稿よりもビジュアルでのコミュニケーションに変化。
デバイスが変われば投稿も変わるのは当然ですよね。
シェアする内容の変化
シェアする内容も物から事へ変化。体験をシェアする人が多く、物を欲する欲求から、同じ体験をしたいという欲求に変化しているようです。
あるある感が生まれる投稿も増えていて、オリジナルなきコピーとして拡散していくのは、ビジュアル寄りのSNSでは多く見られる現象です。
検索行動の変化
SNS上でタグという機能が搭載されたことで、タグを辿って検索するという行動が増加。
画像を見て知りたい情報にたどり着くビジュアルサーチも、検索行動の中で一定の割合を占めてきています。
SNSの使い方として、タイムラインを受動的に見ているだけでなく、タグやキーワードで検索していることも増えてると思います。
情報取得の変化
あるある感でシェア、ボトムアップの情報拡散という変化が語られていました。
「自分の立場に近い人からの情報取得が頼りにされている」というのも、検索エンジンから得る情報とは異なる特徴です。
シェアする心理
自己承認欲求を得るためにSNSへシェアするという目的もありますが、
- あるある感を出して盛り上がる
- 消える動画でリアリタイムなものを楽しむ
という、楽しむ系の欲求も増えているようです。
web屋として考えられること
SNSの利用行動が変化している中で、画一的なweb広告で良いのかな?という疑問は昨年末くらいから持っています。
趣味的な内容の画像を見ている時にビジネス系の広告が表示され、空気読めよと思ったり、煽り系の広告は即ブロックしたり、など、自分がユーザーとして感じるものもあります。
SNS広告の効果を検証する際には、「コンバージョンよりエンゲージメント」で計測しようと言うことも書かれており、最終的にコンバージョンに繋がるSNS上のエンゲージメントを設定し、効果検証していくのが重要なのかと思います。
スポンサー投稿だとスルーされるし、広告的な投稿も無視される。
webマーケターにとっては、どんどん広告戦略が難しくなっていきますが、
- タグに応じて広告を出す
- 時間帯に応じて異なる広告を出す
- 各SNSごとに画像・動画を変える
- 投稿に付けるタグを複数試す
といった、SNS利用者の情報行動に沿ったSNS活用が求められます。
そのためには、外注のweb業者が頑張るというよりも、経営者とweb担当者のSNSリテラシーを上げるお手伝いをする、ということが良いのかと思います。
まとめ
結構、分厚く、カタカナ多めで読みづらい面もありますが、色んなデータと文献に基づいたSNS考察本。
情報行動や広告戦略について考えさせれるきっかけになります。
広告が効かなくなってる、SNS利用者の心理を把握したい、というような方にはオススメです。
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