「人は、自分が欲しいものを説明できない」「95%の無意識がヒットを生み出す」という帯のコピーに惹かれて手に取った本。
検索キーワード広告のように、能動的に探している人ではなく、なんとなく困っているけどまぁ良いか、という曖昧な欲求にどうアプローチするかということが書かれています。
あらすじ
市場が成熟化すると、分かりやすい問題が顕在化していた「だいたい良くない時代」から、そこそこ満たされている「だいたい良いんじゃないですか?時代」になり、人を動かす隠れた心理である「インサイト」を把握することが競争優位を実現するアイデアの元になります。
この本では、インサイトを構成する要素、インサイトを用いたフレームワークなどが説明されています。
インサイトを発見するには、「人間を見に行く」ことから始める必要があり、直接聞いても把握出来ず、その解決方法も記載。
インサイトを用いた業務プロセス・留意点にも解説されています。
気付き
検索キーワードでは分からないインサイト
まず、最初に思ったのが、問題点や不満が明らかな層を相手にしがちだということ。
普段、仕事などでSEOやリスティング広告などを扱っていると、ユーザーが入力したキーワードを元に考えてしまうので、顕在化しているニーズだけ追っていることになってしまいます。
データに出てこない部分も把握していかないと取りこぼしがありそうです。
デビルインサイト
人間の欲望には表と裏があり、ポジティブな欲求だけでなくネガティブな欲求に合わせたサービスが受けることもあります。
例として出されていたのが、マクドナルドのクォーターパウンダー。
お客様の声では健康志向が出ていて、サラダなど健康的なメニューを導入したが、あまり目立った売上変化はないところに、ボリューム感のあるハンバーガーに食らいつきたいという、裏側の欲求に合わせたところ大ヒットしたようです。
建前と本音、理想と現実、というような分け方とは違うかも知れませんが、ユーザーが表に出している声だけで判断するのは、必ずしも正しいとは言えないようです。
インサイトの検証プロセス
表に出てこない人の心理がインサイトなので、一発で正解を導き出すことは困難です。
オポチュニティ発見、インサイトリサーチ、アイデア開発、プロトタイピング、ローンチ、トラッキングという7つのフェーズが紹介されていますが、これはwebマーケティングにおいても言えること。
プロトタイピング、ローンチ後のトラッキングは必須です。
これからのwebマーケティング
webのマーケティングでは、検索回数の多いキーワードが重視されますが、それだけでは、半分くらいの消費者にしかアプローチ出来てないことになります。
検索エンジンに入力するキーワードは、不満や問題が明らかな人のキーワードなので、なんとなく困っているけど、どう調べてよいか分からない、とりあえず生活には困らないので放置しているような潜在的なインサイトは把握出来ません。
そういえば、それ困ってたんだ!そういうの欲しかった!と気づいてもらえるような、気づかせ型の広告も必要。
明らかな不満や問題点にはSEOやリスティング広告で対応し、潜在的な欲求には動画や画像、コンテンツなどで気づかせる、2つの路線が求められます。
まとめ
webマーケティングの仕事をしていると、どうやってクライアントの商品に活かすかという視点で読み進めましたが、それぞれの立場で参考になる本。
広告が効かなくなってる、今までのマーケティング手法が効かなくなってる、という方はもしかするとインサイトに目を向けてないのかも。
インサイトの発掘方法も解説されているので、試してみてはいかがでしょうか。
コメント