2週に渡り、補助金コンサルタント養成講座に参加し、補助金申請を代行できる実務的な知識を学んだので、ウェブコンサルタントとして、補助金を使ったホームページ制作のメリット・デメリットについて考えてみました。
発注する事業主側も、受注する制作会社も、安易に利用する前に、確認しておきましょう。
ホームページ制作に使える補助金の種類
ホームページ制作に使える補助金は、国が支給する小規模事業者持続化補助金や、各自治体が支給する補助金などがあります。
小規模事業者持続化補助金の場合、事業費用(ホームページの制作、リニューアルなど)の3分の2を、補助金として得られるもので、上限金額が50万円になります。
75万円の予算の制作作業、リニューアル作業なら、50万円が支給され、事業主の負担が実質25万円に軽減されます。
2020年はコロナウイルスの影響もあり、上限を広げたコロナ対応版の小規模事業者持続化補助金もあり、上限100万円になっています。
この記事では、小規模事業者持続化補助金をメインに、補助金を使ったホームページづくりのメリット・デメリットを解説します。
持続化補助金の申請・交付手順
小規模事業者持続化補助金の申請から交付までの手続きはざっくり説明すると以下のようになります。
- 申請書類の作成
- 審査
- 採択通知
- 事業実施(実際の制作作業)
- 完了報告
- 審査後、補助金入金
- 数年に渡り事業報告
まずは申請して、審査され、採択されたら、実際の制作作業に入ります。
制作が完了したら、業者に代金を支払い、完了報告を行い、審査が通れば、補助金が入金されるという流れになります。
また、持続化補助金の場合は、数年間に渡り、事業報告を行う必要があります。
補助金を使うメリット・デメリット
補助金を使うメリット・デメリットは以下のようなものがあります。
補助金を使うホームページ制作のメリット
費用負担が減る
補助金を活用するメリットして一番大きいのは、費用負担が軽減されることでしょう。持続化補助金の場合、3分の2を国が負担してくれるので、事業主の負担額が減ります。
ただ、補助金申請をコンサルタントに依頼する場合には、その委託費用がかかるので、実際にはまるまる3分の1の出費になるわけではないので注意が必要です。
経営方針を見直すきっかけになる
補助金を申請する際には、補助金を使う事業の計画だけでなく、会社や事業の現状分析や経営計画を行う必要があります。
持続化補助金の場合、加点要素として、経営力向上計画の認定、という項目があるので、採択されやすくするためにも経営力向上計画の認定を受ける手続きを行います。
このときに、自社の強みや弱み、事業環境分析、経営計画の策定を行うことは、経営方針を見直す機会になります。
補助金を使うホームページ制作のデメリット
補助金を使うホームページ制作のデメリットは以下のようなものがあります。
手続きが煩雑
補助金の申請方法は、持続化補助金のページなどを見れば、公募要領が公開されているので、自力で行うことも可能です。
ただ、一読しただけでは分からない、何回なものになっており、採択されやすい書類を作成するのは、素人には至難の技です。
100%採択・交付されるものではない
補助金が払われるまでには、事業開始前の審査、完了後の審査と2段階で審査が行われ、最終的に交付される仕組みになっています。
公募要領に沿っている事業であれば交付される確率は高いですが、100%もられるものではないので、あてにしすぎるのは禁物です。
数年間の事業報告が必要
持続化補助金の場合、1年後の効果報告が必要になっており、補助金をもらって終わりではありません。
その他の補助金の場合、数年間に渡る事業報告が必要のものもあり、売上目標などの数値と大きな乖離がある場合には、補助金の変換を求められるケースもあるので注意が必要です。
手続き代行費用がかかる
補助金の申請書類を自力で行い、自分で提出する場合には、補助金がまるまる受け取れますが、書類作成や手続きを委託した場合には、費用がかかります。
作業単位で代行するケースや、支給される補助金額に応じた成功報酬を支払うケースなど、コンサルタントによって報酬体系は異なります。
持続化補助金の場合、3分の2が支給されても代行費用がかかるので、事業主の手元に残る金額は半額かそれ以下になる可能性があります。
手続きを代行業者に依頼しても、事業主にとっては打ち合わせ時間もかかりますので、手続きに費やす時間と手元に残る金額を比較して検討する必要があるでしょう。
スケジュールが固定される
補助金の申請、報告書の提出などの時期が決まっているため、制作作業を行うスケジュールが固定されてしまうデメリットがあります。
すぐに作って公開したいというような場合には、採択されるまで待たなければならないので、費用負担を減らすこととスケジュールの柔軟性のどちらを優先するのか検討が必要です。
作業内容も固定される
補助事業の申請を行い採択されたら、作業内容はそのまま変えることは基本的にはできません。
ウェブ制作の現場ではよくあることなのですが、やっぱりこの機能を追加してほしい、この作業を追加してほしい、という柔軟な対応をすることはできません。
通常のウェブ制作よりも柔軟性に欠けるので、見積もり段階で十分に検討しておきましょう。
補助金を売りにした制作会社の問題点
補助金を売りにしたウェブ制作会社に依頼する場合、いくつかの問題点が考えられます。
スケジュールが重なるトラブル
補助金を活用してホームページを作る場合、事業完了報告期日までに、制作作業を完了する必要があります。
そのため、補助金を使って制作案件をいくつも受注している場合、納期が重なり、同じスケジュールでいくつものサイトを作っていくことになります。
スケジュール管理のしっかりしている会社であれば問題ないですが、請け負いすぎている会社の場合はこなしきれるのか疑問が出てきます。
見積もり金額が妥当かどうか
補助金を使うと事業主の負担が減るため、普段よりも高めの見積もりになっている可能性もあります。
補助金+ウェブ制作などで調べると、この内容でこの値段??と驚くようなサイトもあるので、補助金を活用しなかった場合の相場観と見積もりが合っているか確認することも必要です。
補助金を使わないと発注できない事業主の問題点
また、補助金を使わないとウェブ制作を発注できないような場合には、事業主にも問題はあります。
ウェブ制作の相場は数十万〜数百万円まで、内容によって幅がありますが、小規模な事業主のウェブサイトやランディングページの場合、数十万円程度になると思います。その金額の経費をかけられないとしてら、そもそも経営戦略自体に問題があります。
低価格で作るツールもある
ホームページを作るだけであれば、最近では、STUDIOやWix、Jimdoなど、コードを書かずに低価格でサイトを構築するツールがあります。
また、コンテンツを継続的に追加していくならWordPressをベースに数万円以内の有償テーマを利用する方法もあります。
補助金を活用して低負担でサイト制作を行うよりも、サイト制作自体は低価格のツールで行い、広告費を補助金で捻出する、という方法も考えられるので、ツールの最新動向は情報収集しておきましょう。
ウェブ活用の内製化
コードを書かずにサイトを作れるノーコードツールやビジュアルエディターなどを使えば、サイトの制作だけでなく、更新、修正も自社内で行うことができます。
ランディングページなども簡易的なものなら作れるツールも増えています。
テストマーケティングとして行うプロジェクトのランディングページに数十万円も支払うよりも、自力で作って広告費に回す、ということのほうが事業の成果にはつながると思います。
ウェブサイトの制作、LP制作、効果検証、運用などを内製化するためのオンライン講座を制作中ですので、気になる方はメルマガに登録をお願いします。
まとめ
補助金を使ったホームページ制作にはメリットもデメリットもあり、必ずしも補助金を使ったほうが良いとは言い切れません。サイトを作る目的が、補助金を使った制作サービスと合致するかどうか、検討することも必要です。
制作には補助金を使わず、運用・集客に使うというパターンも考えられます。
補助金を使ってウェブ活用に興味のある方は、ご相談いただければと思います。
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